ご挨拶

新しい時代の医学や医療を切り拓く

埼玉医科大学は2022(令和4)年5月に創立50周年を迎えることとなりました。これもひとえに、文部科学省、厚生労働省、埼玉県、毛呂山町をはじめ近隣市町村、医師会、連携施設など、長年にわたりご高配をいただいている関係の皆様のお陰であります。改めまして感謝申し上げる次第であります。また、初代学長をはじめ、歴代幹部や教育、研究、診療、管理それぞれの立場における教職員の皆様の創立以来のご努力の賜物でもあります。これまでのご貢献に心から敬意と感謝を申し上げます。

本学は、1892(明治25)年に丸木清太郎により設立された地域の医療機関である毛呂病院(現在の社会福祉法人埼玉医療福祉会丸木記念福祉メディカルセンター)を設立母体としております。毛呂病院は「限りなき愛」を基本理念とし、Patient-Centered Medicineの提供を通じた地域医療の充実に向け、130年の歴史を刻んでおります。

学校法人埼玉医科大学
理事長 丸木 清之

本学の校祖である丸木清美、丸木清浩は、毛呂病院時代からの歴史や理念を継承し、医療現場で活躍できる優れた人材を育て、地域医療の充実につなげたいという強い思いで「すぐれた実地臨床医家の育成」を建学の理念の第一に掲げ、1972(昭和47)年に埼玉医科大学を創立しました。創立以来、実地臨床医家として約4,500名の医師を養成してまいりました。50年の間には看護専門学校、短期大学、保健医療学部も開設され、医師のみならず看護師など多彩な医療人も養成し、学内はもとより埼玉県や全国で卒業生たちは活躍しております。また、基礎研究や臨床研究の各研究部門からは、独自性のある多くの研究成果も生まれております。大学病院の本院として埼玉医科大学病院のほか、社会からの要請を受け設立された総合医療センターや国際医療センターからなる埼玉医科大学病院群は、地域医療の最後の砦としての役割や更には埼玉県唯一の医育機関として地域、埼玉県、日本の医療の充実にも貢献してまいりました。

これから社会の超高齢化が更に進むなど、日本の社会環境はより急速かつ大きな変化が続くこととなり、本学の役割に対する期待は、より重さを増していると考えます。環境が変わっても私たち埼玉医科大学は、社会からの期待に応え続けるため、創立時の熱い思いを忘れず、歴史や理念を継承し、常に改善や改革を続け、さらに教育、研究、診療の質の向上を図り、新しい時代の医学や医療を切り拓いてまいる所存であります。教職員一同本学のミッションとしてのYour Happiness Is Our Happinessの同じ思いで「世のため人のため」に勇往邁進し、医療と福祉と教育が融合した理想郷の実現を目指して努力と挑戦を続けてまいりたいと思います。私たち埼玉医科大学に対するこれまで以上のご指導やご支援をお願い申し上げ、私の挨拶といたします。

学校法人埼玉医科大学
理事長 丸木 清之

大学の使命を再確認し一層の精進を誓う

埼玉医科大学は、本年、創立50周年を迎えます。ここに至るまで、本学に対し、様々なご支援をいただいた皆様に、心から御礼を申し上げます。

本学は、埼玉県西部の地域医療を1892年(明治25年)から担ってきた毛呂病院(現、丸木記念福祉メディカルセンター)を母体として、1972年(昭和47年)に設立されました。当初は、医学部医学科のみからなる単科大学でしたが、1978年(昭和53年)には大学院医学研究科を、平成18年には保健医療学部を設置し、医療系の総合大学としての道を歩んでまいりました。そして、現在までに医学部から4,503名、保健医療学部から2,994名が本学を巣立ち、医師あるいは保健医療技術者となって社会で活躍しています。

ご高承のように、現代のわが国は、今までどの国も経験したことがないような速さで少子高齢化が進行しています。同時に、医師不足、医師の地域および診療科の偏在などによる問題が顕在化し、大きな社会問題になっています。特に、埼玉県においては、高齢化のスピードは急速で、75歳以上の人口増加率はわが国で最も高い一方、人口当たりの医師数は全国最下位の状況が続くとともに、医師の県内分布における地域格差も顕著になっています。

埼玉医科大学
学 長 別所 正美

一方、視野を世界に向けますと、人類の飽くなき経済活動に起因するとされる気候崩壊によって、毎年のように大規模な自然災害が世界各地で発生するようになりました。また、新型コロナウイルスによる未曽有のパンデミックが突如として発生し、未だ終息の目途もたたない状況が続いています。さらに、つい最近では、地政学的リスクによる世界の分断が、人類の未来を一層見通しづらくする要因として加わりました。これから先、我々の未来には、予想の難しい地球規模の様々な問題が待ち受けていると言っても過言ではないように思われます。

地域レベルの問題から地球規模の問題まで、一朝一夕に解決するのは不可能な難問に取り囲まれているのが現代社会ですが、その中にあって各組織にとって大切なことは、各々の使命を再確認し、その使命を果たすべく、日々の精進を続けていくことではないかと思います。

本学は、地域医療を担う第一線の病院を原点としていることから、患者さん中心の医療を実践できる「すぐれた医療人」の育成を教育目標としてまいりました。そして、この目標を達成するため、教育環境の整備、教育カリキュラムの改善、教職員の資質向上に努めてきました。この度、創立50周年を迎えるにあたり、保健・医療・福祉の分野で社会に貢献できる「すぐれた医療人」を育成し、社会に送り出すことによって保健・医療・福祉の発展に寄与する、という本学の使命を再確認し、一層の精進を続けていく決意を新たにするものであります。

引き続き、皆様のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

埼玉医科大学
学 長 別所 正美